素敵な曲との出会い
ピアノの先生となると、小さい頃からピアノ大好きだったんですねぇ等よく言われるのですが、
いえ、嫌いでした笑
と答えてます。事実です笑
練習の嫌いな子供で、練習しないので弾けず、いつも劣等生でした。
なので練習をしてこない子の気持ちも、弾けない子のみじめな気持ちも、それでも練習したくない気持ちもよくわかるんですよ。そこが強みかな笑。
そんな私の本気音楽との出会いは、コンコーネでした。
あの歌の練習曲の。
はい、その声楽を習うとかならず発声で歌うあの、コンコーネさんです。
彼の作ったピアノの練習曲があるんですよ(一時期前音から出版されていたようです)
当時のレッスンの課題でしたが、あまりに素敵な曲で、素敵なのに上手く弾けないことが悔しくて、練習嫌いの私が何回も練習したのを覚えてます。
今弾いてみるとベルカント・オペラのアリアのようなノリかな?流石コンコーネさん、和音も奇抜でなく旋律が歌うようで美しいんです。
当時はコンコーネ???なワケでしたが。いい音楽との出逢いは身体に残っていくんですねぇ。
ということをすっっっかり忘れていたのですが、メロディラインに敏感な生徒さんがいらして、ツェルニーは嫌いということで良い練習曲がないかと模索していた時に、そう言えば自分のときは!と思い出したのでした。
先生の立場になると、とにかく数こなして弾けるようになってくれれば良いと効率ばかり考えてしまいがちですが、一曲一曲さり気なくも素敵な曲に出逢える積み重ねで、音楽いいな、って思ってもらえるんだなぁと改めて、レッスンでの課題曲の大切さを思いました。
ピアノ上達のコツ
どうすればはやく上手くなれるか?
セッカチな生徒さんがいて、熱心なのだけどそのようなことを度々聞かれます。
ただ単に練習量を増やす、ではなく。
自分の演奏を音楽としてうまく成り立たせるためのコツは何か?
その発想の時点で少し視点が違う気がするんだけど(楽しんで弾く→それが音に伝わって表現されるのが自然だと思う)
とは言え考えてみた。
・必要ない身体のチカラを抜く
・よく聴く
・よく歌う
やはりどんな簡単でも難しい曲でも、究極これしかない。我ながらシンプルだなと思うがシンプルな事ほど極めるのは難しいんですよね。
この3つのコツはゴールが何処か自分では見極めづらい所も、難しいポイント。
自分では出来てると思っても他人から見ると全然だったり。
私もこの3つ、まだまだ中途で極められていないと思うし。
しかしほんとは、どんな小さな曲でも、一音一音、音を楽しんで弾いて欲しいなぁと思います。それが趣味としての醍醐味だと思うし。
教える時心がけていること
ピアノを弾く意義
レッスンにて。長年クラシックが好きでピアノを頑張っている生徒さんが、
仕事で上手くいかなかったりイライラしてたりするときにピアノを弾くとね、スーっと気持ちが落ち着くんですよ、と仰ってました。
まさにこれが趣味ピアノの醍醐味だなぁと思います。
人は自分の気持ちを言葉で表現できますが、言葉に乗せきれない思いってあるんですよね、そんなものを音楽が吸い取ってくれる、素敵な関係だなぁと思いました。
自分自身も子供のときはわからなかったけれど、音楽が自分の足りない所を補ってくれ、たくさんたくさん助けてもらいました。
音楽が自分の人生の助けになる、すべての生徒さんの人生がそんなものになって欲しくて、日々子供たちにもレッスンしています。
できるとできないの間
出来る。例えば音符が読める、特定のリズムがとれる。出来ない。苦手な人、何回やってもなかなか出来ない人、いますよね。
でもね、気にしないでそのまま続けてください。出来ない、出来ない、出来ない、を毎回繰り返します。そうするとある日ふと出来るようになるのです。これは私も何回も体験しましたが不思議です。本当にある日突然です!
ポイントは出来ない自分に苛立たない事、なにも考えないことです。この何も考えないということが、結構大事だと思う今日この頃です。
熱心な生徒さん
熱心な生徒さんがいて、私に習うよりずいぶんと前からピアノを好きで弾いているらしいが、趣味で毎日1時間は弾く。私も見習いたいくらい。
一生懸命なのだが弾くときに身体にとても力が入るのです。そのせいで演奏がかたくなってしまい自然な音の美しさが出ない。今まで脱力ということを言われたことがないようでした。
バッハを始め好きな曲を今まで弾いてきたようですが、改善のために基礎からやりたいということなので、ハノン、バイエル、ブルグミュラーと徹底的に基礎をやりました(よく耐えてくれた)子供にバイエルはメインでは教えませんが、大人にとってはとても良い教材です、バイエル。
シンプルな曲を弾くなかで、
ピアノを弾く=音楽=歌をうたうこと
ということを常に意識させ、時には本当に歌いながら弾き、徹底的にフレーズへの意識をもたせ(バイエル、ブルクミュラー)そしてハノンやリトルピシュナを使って脱力と指の強化、調性の認識、そして練習曲(ツェルニーなど)リズム練習…課題は山盛りで大変だったと思いますが、とにかく私が言ったことは素直にやってきてくれる優秀な生徒さんでした。
彼の毎日の努力の甲斐あって、約2年あまりで基礎的なことを一通り終え、フレーズへの音楽的な意識もだいぶ持てるようになり、色々弾き方のクセが強かったのですが、脱力を意識して自然な形で弾けるようになってきました。
実家でピアノを弾いたら、音楽好きなお母様に初めて演奏を褒められたと嬉しそうに報告してくれたのが印象的でした。
彼のお仕事の関係で引っ越すことになり、まだまだこれから連弾やら練習曲やら讃美歌やらやりたかったのですが、次回のレッスンで修了となります。
彼が、先生、ネットで宣伝すれば良いのにと熱心に言ってくださって、僕のことを書いたらいいのにと、仰ってくれたのが嬉しくて、記念に書かせて頂きます。
彼のお陰で、私も教える立場としてどう伝えていったら良いかということをたくさん学ばせて頂きました。とても熱心な生徒さんをもてたこと、幸せでした。ありがとう。
彼がこれからもピアノを楽しんでくれることを願います。
演奏することは言葉を習得すること
“ありがとう”と、今まで何回言いましたか?
教えられて“あーと”と言っていた1、2歳の時には、その意味なんてわからなかったでしょう。
何千回言って“ありがとう”の意味を知りましたか?あと何万回言って“ありがとう”の意味を再確認しますか?
繰り返して、言葉に思いが載せられるようになるんです。ピアノの演奏も同じです。繰り返すことで、表現として演奏が意味をなしていきます。
生まれた時から毎日聞いて毎日話して母語が形成され、特に考えなくとも言葉で表現出来るようになることと、楽器を習得して音楽を演奏することで自分を表現することは、とてもよく似ています。
ということで、何故毎日練習しなければいけない意味、わかりますよね^ ^
言葉でも音でも、上手に自分を表現出来る手段になれると良いですね!